『Calling 3』トリコマ R18 (2014/1/21)
・…まだ続きます。今回からR18にします(ぬるいけど)
あれほどあたたまれと言ったのは自分なのに、真逆の行動をとるトリコは内心苦笑する。
羽織っただけのシャツをバンザイさせて脱がせ、短パンもさっさと引きずりおろし床に放り投げる。
小松はされるがままに、目だけはやり場がないのか彷徨わせて。
トリコは風呂上りにそもそも着衣していなかった。簡単に腰にタオルを巻いていただけだったのでそれさえ取り払えば全裸である。
お互い一糸まとわぬ姿になった所で膝を突き合わせてなぜか正座。
トリコは小松の脇の下の手を入れると、ヒョイと小松の小さな体を持ち上げて自分の腰の上に下ろした。
掌にふれた体温は温かく、脈拍も少し早い。
寒くはなさそうだと安堵し、相好を崩す。
小松もその顔を見て、真似するように小さく微笑む。
窓からは月の光が差し込みうっすらとお互いの肌を照らし出している。
カーテンは備え付けていない。
小松は恥ずかしいからカーテンをつけろと言ったが、そもそもこのような僻地に他者からみられる心配は皆無。
無用なものはつけたくないというトリコに小松はでも、と言い募ったが取り合わなかった。
(だってカーテンなんかつけたらよ…)
小松は恥ずかしがって、明るい所では肌を晒したがらない。
何度か、なんとか言いくるめて致した事はあるが、たいがいその後不機嫌になった。
なら夜、電気をつけなければと言う事で折り合いをつけた。
なので灯りはつけていない。
月明かりが小松の肌を浮き上がらせる。
ココ程ではないがトリコも夜目がきくほうだ。
獲物を認識するには十分な明るさ。
さらにはより小松を艶めかしくする効果が月光にはあった。
(こんな美味しいシチュエーション…むざむざ手放すわけねぇわな)
小松は気付いているのかいないのか。
一応の納得はしているようで、月明かりのもとならそこまで羞恥はないようだった。
なので無防備にトリコの眼の前に肢体をさらけ出していた。
始めるとき、必ず最初に口づけから交わす。
まるで神聖な儀式のように。
静かに、音もなく、軽く触れ合わせるだけのキス。
何度か繰り返した後、ゆっくりと深めていく。
舌先で薄く小松の唇を辿る。
うっすらと開かれ、中への侵入を許される。
少しずつ中に侵入すると、隠れる様にひそめられた舌。
ほんの少し追うとさらに奥へと逃げられたので敢えて追わず、上あごを辿りながら唇へと戻る。
つるりとした歯の表面の感覚を楽しみながら歯列を割り、、時おり唇の裏に差し込んではむにむにと唇で食む。
それを何度も繰り返し、小松の舌に触れずにいたら、じれったくなったのか小松から差し出されてきた。
どうするのかと動きをとめていると、ちろり、とトリコの下唇を這ったあと、ほんの少しトリコの口内に差し込まれた。
その少しとがらせられた舌先を、軽く表面に触れるよう舐めあげながら軽く吸いあげ甘噛みをほどこす。
くちゅり、くちゅりと唾液に濡れたそれが小さく音を出す。
小松は恥ずかしげに眼を細めたが、ひっこめることはしなかった。
児戯のように舌先だけで戯れながら、トリコは小松の背に這わせた指を項から背骨を辿り、ゆっくり降下させては上昇を繰り返した。
薄い筋肉と脂肪に包まれた骨格を確かめる様に掌を這わせ、ほんの少し力を入れれば簡単にへし折れる肋骨を一本一本親指でなぞる。
「ふ…」
小松が小さく笑った。
「トリコさん、そこ、くすぐったい」
ボク、わき腹弱いんですから〜、とくすくすと。
「…知ってっか、くすぐったがりって感度のいい証拠なんだぜ」
わざとこそばゆいと言うわき腹をまさぐってやると、あはははと小松が笑った。
「ちょ、っ…ほ、ほんとにダメですっ…て、あはは─ッ…」
堪えきれなくなったのか、大声で笑う始末。
…違う、オレが求めているのはこれじゃない。
仕切り直すように口付を落とすと、やっと笑いを引っ込めた小松がまずかったかな、と目配せしてきた。
「ちょっと我慢しろ。…オレの指先だけに集中してみろ」
はぁい、としおらしく言うが、身体を這う感覚がまだこそばゆいらしく、笑いを我慢している。
「…こっちのがいいか」
トリコは自分の胸に添えられていた小松の片手を取るとおもむろに口に含んだ。
びっくりした小松は引っ込めようとしたが、当然力でかなうはずもなく。
手首から手の平へ、そして指の一本ずつを舌を絡ませながらしゃぶりつく。
わざと音を出し、水を滴らせては吸い上げた。
「…ッ──…」
見せつけるように舐り上げ、しつこく舌を這わせ続ける。
その動きを小松は凝視していた。
指二本をまとめて口に含み、根元から爪先まで舐めあげる。
先端で強く吸い上げてはまた口内深くまで指を埋める。
「──…っ…」
小松の顔がみるみる赤く染まっていく。
口淫を思わせるその仕種。
いつまでも続けられるそれに小松は目をそらした。
「見てろ」
逸らすことは許さない、とトリコは手首に強く吸いついた。
「あっ…」
小さく赤い印が散らされた。
小松の体温がどんどん上昇していくのを接触している肌から感じとる。
手は体の中でも敏感な部位だ。特に指先は感覚が鋭い。
(この手で、この指でコイツはいろんなものを作り上げてきた)
料理人である小松にとっては一番大事な部分といってもいいだろう。
(それをこんな無防備にオレにさしだして…)
噛み砕くことはたやすい。
ほんの少し歯を立てる。
一瞬、痛みに顔をしかめた小松だが、すぐに与えられる感覚に意識を戻す。
(そんな、簡単にオレを信じるな)
身をゆだねる小松を愛おしいと思う。
無条件に寄せられる信頼に、ほんの少しの罪悪感。
優しくしたい、酷くしたい。
二律背反にせめぎ立てられる。
小松はただ与えられる快感に感じ入ろうと、必死にトリコに感覚を寄せていた。
(…いいのかよ、オマエ。オレなんかにいいようにされちゃってさ)
動きを止めたトリコに、小松は小首を傾げた。
「…そんなに舐めても、味なんかしないでしょう?」
「するよ、オマエの味。うまい」
ぱくり、と指全部を含んでまぐまぐとかみしめる仕種をすると、ふんわりと小松は笑った。
「悪い」
「?何がですか」
「いや、ちょっとな」
変なトリコさん、とちょっとふやけた手を小松は引っ込めた。
トリコは小松を抱き寄せると、そっと口付を落とした。
小松も応えるように、トリコの首に腕を回して受け入れた。
横に置いていたビンに手を伸ばすと、器用に片手で蓋をあけ、中身を掌に落とす。
それを両手で揉みこむ様にしてなじませ、小松の奥まった所にぴたりと当てた。
ビクリ、と小松の身体が小さく跳ねる。
トリコは無言で微笑むと、そのまま指をすべらし縁をなぞった。
片手におさまる弾力のよい臀部を揉みほぐしながら指先は秘部の周りをかするように動かし続ける。
小松はぎゅっと目を閉じ小さく身体をよじらせた。
窪みの上でぴたぴたとノックするように軽く叩く。
そうしてまた縁をぐるりとなぞってやるのを繰り返す。
ささやかな刺激に小松は小さな声を零しはじめる。
息を詰め、それでも洩れる短い声はトリコをじわじわ昂らせる。
先ほどと同じように背中を掌でたどると、今度は軽く背をしならせてきた。
「…な、こそばいだけじゃないだろ」
「…ッ──…」
少し潤んだ眼が恥ずかしげにすぼめられる。
ポタリ、と冷たい雫がトリコの腿に落ちた。
ふと見ると、二人に間に挟まれていたものが力をもって形をなしていた。
小松のものがすでに先端から雫を零していたのだ。
つん、といたずらに触れてやる。
「ヤ、──ッ!」
「もう、こんなんなってるな」
「─ト、トリコさんだって…──」
トリコのものも変形し、すでに立派に屹立していた。
「ん、気持ちいーもんな」
「は、い、──…」
額をあわせ、すりすりとこすり合わせる。
トリコはより密着するように小松の腰を少し抱き寄せた。
「な、オレの触って」
「え…っ、」
「ゆっくりでいいから…あ、お前、自分のは触んなよ」
「なっ…!ど、どうしてですか!」
「お前すぐイっちゃうだろーが」
「そ…っ!だ、だったらトリコさんだって…」
「オレは我慢出来るもん。我慢強いの知ってるだろ」
にやりと笑ってやる。
ぶー、と一通りふてくされた後、小松は素直にトリコに触れた。
「─っ、それ、すっげ気持ちいー…。そのまま続けてろよ…」
そうしてトリコも小松の最深部を目指すべく指の動きを再開した。
「…は、あっ…──ッ…」
小松の口からは繊弱やかな声が断続して漏れる。
内部には指が二本埋め込まれ、緩やかな刺激を与え続けていた。
トリコは片手で優しく小松の肌に触れながら、もう片方では時折ひどく刺激的な動きをほどこす。
性を刺激するそれと、相反する優しい所作に小松は小さく身じろぎをしながら甘受していた。
膝立ちでいた小松の足は細かく震え、それでもトリコに倒れ込まぬように耐えていたのだ。
小松の背をそっと支えながら、背後に敷き詰めたクッションにもたれるようにトリコは背を預けた。
「小松」
ほら、と促すと、小松はのしかかるように身体を預けた。
胸と胸がピタリと密着する。
「お前な…」
いらん気遣いすんじゃねーよと言うと、だってトリコさんに悪いかなと思って、と返ってきた。
「重いわけねーだろ、お前の体重くらい」
小松が気にしていたのは本当は違う事だということくらいわかっていたが、あえてのってやる。
幾度身体を重ねようが、小松は恥ずかしいのだそうだ。
普段は自分から相手に飛びつくくらいなのに、素肌だとどうしても照れがあるらしい。
今さら、とも思うが、初々しい感覚もまた可愛く思う自分は重症だと自覚している。
密着したことで二人の距離はさらに縮まり、顔も近くなる。
「お前の重みは気持ちいいよ。ああ、小松といるんだな、って実感するから」
心地よいから、もっとオレに身体を預けろと。
胸の上からこちらを覗きこむ瞳に、トリコはにっと笑って告げた。
小松も嬉しそうに微笑んだあと、少し首を伸ばしてトリコの顎先にちゅ、と触れた。
こそばゆいやりとりに頬が緩む。
戯れを混ぜながらも、トリコは小松を追いつめるべく奥への刺激を増やしていく。
トリコの上で小松が身じろぐ。
前に触れられていないのに高められる性感がもどかしくて、刺激を求めてトリコに擦り付け快感を得ようとしているのだ。
「こーら、ダメだ」
「や…、だ、だって…」
「もうちょっと我慢な」
小松が動けないように軽く腰を抱きしめ、黒髪に顔を埋めて熱く息を吹きかける。
小松はふ、ふ、とせりあがる衝動を逃がすように細かく息を吐き出しながら、トリコの首にまわした腕に力を込めると、よじ登るようにしてずり上がり、カプリとトリコの喉元にかぶりついた。
「おっ」
懸命に舌を這わせ、ときに吸いついたりしてトリコを煽る。
この状態を何とかして欲しい、先に進みたいとの小さなおねだり。
くつくつとトリコは喉で哂う。
(このオレが急所曝け出して、さらには噛みつかれてるぜ)
きっとこの世界で、そんな事許せるのはお前だけなんだろうなぁ、と。
こんなにも愛しく思う存在が出来た。
トリコにとっての僥倖。
それがいま、腕の中でトリコに身を預け、すがるようにトリコを求めている。
はちきれんばかりに胸が高鳴る。
「小松…」
耳元でささやいて、耳介を軽く噛んでやる。
んっ、と小さく洩れ出でる声。
小松はそのまま首筋を辿り、鎖骨の窪みまでたどり着くと軽く歯をたて、痕を残した。
「トリコさ…」
ずくん、とトリコの熱が否応もなく上がる。
(だめだ、オレの方が先にまいっちまいそうだ)
我慢強い、と言った手前、そうそうに陥落するにはトリコの矜持が許さない。
とっとと先に進めようと、オイルを足すために再びビンに手を取ると「あ、」と小松が声を上げた。
「ちょっとそれ!」
「台所にあったやつ」
「ちょっとーーーーっ!」
それ希少なやつなんですよ!なにしてくれてんですかー!と。
「だって、ローション使い切ったからよ」
「だからって…!こんな事に使う為に手に入れたんじゃないんですからね!」
「おま…今そういう場合じゃ…」
「それはトリコさんに美味しく食べてもらう為に、すっごく苦労して苦労して苦労してよーやく!手に入れたものだったんですよっ!」
それなのに、となおも詰め寄る小松。
「じゃぁ、いいじゃねぇか。今から美味しく食べてやるから」
わーわー騒ぎ立てていた口がぴたりと閉じる。
「な、オレの口に入るんだから変わりねーじゃん」
いや、そーじゃなくてですね、ともごもごと顔を真っ赤にしながらまだ文句をいいたいらしい。
全く、やっぱりコイツは一筋縄ではいかない奴だ。
いままでしっとり作り上げた空気は霧散した。
こういう奴だってわかってる。
大丈夫、こんな事でオレはめげない。
おかげで良いクールダウンが出来た、うん。
「…そんだけ元気あるんだったらまだ大丈夫だよな」
小松に奪われたオイルを取り返し、中身をひっくり返してだらだらと手に取る。
あー…と惜しむ声が聞こえたが聞こえないふりをする。
「今度それもちゃんと補充しとくから」
いーから黙ってろと口で口を塞ぐ。
そう、これからが本番だ。
トリコは何とか気持ちを切り替えて、いざ事におよぼうと孤軍奮闘するのであった。
・プロットではこんな展開ではなかった…(あれ?)
て事でまだ続きます。すんませn。
…今度こそ…!
※閲覧ありがとうございます。